だけど川は

タワーから眺むるタワー春惜しむ
語尾かすか両手に花屑の冷えて
猫の恋路地に銭湯にほふなり
まなうらを紫雲英あふるや膝つけば
遠蛙ずつと飲みくだせない種
たましひはみな春眠の橋のうへ
誰の特別にもなれずひこばゆる
花虻や薄き膜張るみづたまり
春愁を引きずつてゐる人力車
雨受けてそして乾いて春ショール
仁王には仁王のゐたり豆の花
背任の手は剪定をごく浅く
C春夕焼玩具三三七拍子
藤の宵しほからきわたしとあなた
石鹸玉ストリッパーを映しけり