果て
きちかうを切れやすき刃と思ひけり
見開きにあふるる曼殊沙華の昼
秋園をなぞりて疎なる竹箒
蛍草半身づつ傘溢れをり
身にしむや線路を挟み草と草
とろろ汁河馬の強さを教へらる
笹鳴や栞代はりに挟む箸
四肢ソファを少しはみ出し雪催
枯芙蓉どの鏡にもあなたかな
鏡餅撫でつつ通話してゐたり
水温む鳥のことばの文字化けす
ひこばゆるひとつ離れて小さき墓
伏せて置く電話に春日及びをり
春の雨猫に及ばぬ乳の数
俯いて避ける口づけ鳥雲に
香水の香の混ざり合ふ喧嘩かな
薔薇くづれけりひとひらをかはきりに
熱帯夜テトリスに入る長き棒
揃つては辿り着けない夏の海
手にて鳥つくれば夏の果てにけり
第24回炎環賞 応募作品20句 (最終候補作品)