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100年俳句計画「百年百花」連載
『100年俳句計画』「百年百花」に箱森裕美の12句を寄稿しております。 12月号より4ヶ月間の連載です。ご覧いただけるとうれしいです。
詩歌句同人クヮイの活動に関して
 このたび、わたし箱森裕美は詩歌句同人Qai<クヮイ>のメンバーとしての活動を終了させていただきます。クヮイの活動を通じて、今までやったことのなかった表現をすることができたり、さまざまな考えにも触れることができました。クヮイはわたしに挑戦…
【俳句連作20句】果て
果てきちかうを切れやすき刃と思ひけり見開きにあふるる曼殊沙華の昼秋園をなぞりて疎なる竹箒蛍草半身づつ傘溢れをり身にしむや線路を挟み草と草とろろ汁河馬の強さを教へらる笹鳴や栞代はりに挟む箸四肢ソファを少しはみ出し雪催枯芙蓉どの鏡にもあなたか…
【短歌連作5首】新聞ラジオ
野良猫と原付のあふれる街だ拾い煙草にまた火をつけて長葱がペンキの空き缶から伸びてみんな折れてる 怒鳴らないでよ人の死ぬ新聞人の死ぬラジオ鹹豆漿に浸す揚げパン明日には他人になるのかもしれない君のほくろにピアスを開ける泳げない海その先の淡い虹…
【俳句・短歌・自由詩複合作品】生活/排水
 【俳句・三句】 流されて雛体温を失ひぬ蛭のゐる淀みじつくり乾きけり真鰯は光の束や切り開く 【短歌・三首】陽に濡れて女が二人もたれ合う生活福祉一課のベンチ「ありがとう」と言われ続けた生水を飲んだら春の海ばかやろうHey Siri 今日は何人救っ…
【俳句連作30句】かく・きく
かく・きく梅一輪落ちて淀みを私すふらここのよぢれて戻らない鎖作業着に血液型を書く四月春はあけぼのボールペンシャープペン満天星の花等しくは愛されぬ絵本から羽ばたく音のする午睡白繭のわづかな重さおそろしくあぢさゐや曲線多き試し書き野茨が視覚を…
【短歌30首】生きてゆこうね
生きてゆこうね太陽の顔に似ている拗ねた頬おいで一緒に映画を見よう自転車を静かに濡らす雨のようでしたあなたの零す米粒紙ナプキン丸めて突っ込まれているおそらく牛丼を食べた器ああそうだよ運動会やりたかったし俺が念じて雨を止ませた秋の雨長くて起承…
【俳句連作15句】傾いて点く
傾いて点く噴水の果ててこれより夜となる提灯の傾いて点く夏の暮ラーメンの伸び膨らむや遠花火誘蛾灯踊つてゐるときはひとり蟻地獄ゆくらゆくらと母眠る町に煙突卓上に香水瓶秋ちかし始発電車の音だらうペットボトル外階段に沿ひ溽暑網戸破れてカーテンの奥…
【俳句連作20句】ぐるり
ぐるりいづこより迷ひ来た麦かと思ふ野茨が視覚をずらしつつ咲きぬ蛇動きけり水の中蓮の中萍の犇めき合ひて微動して白繭のわづかな重さおそろしく夏帽子から夏の日の匂ふなりたとふれば夏野に拾ふ首飾り毛虫焼くゐたかもしれぬ姉のため硬き草連なりてをり夏…
【川柳16句】ムーンライト
ムーンライトサファイヤかアームカバーか選びなさい寂しさが集まりすぎている岬メビウスのねばねばとして左の輪右心房だけが世界と揉めている骨箱にミートボールのぎっしりと生意気なコップだ水を入れてやるハンカチが鳩になるまで待っている月光に晒されて…